こんにちは、現場の基礎屋・塩津です。兵庫県西宮市で住宅の基礎工事を15年やっています。
「基礎工事って、手を抜かれてないやろか」
「ネットで『手抜き工事』ってよく見るけど、何をされたら困るん?」
「自分の家、ちゃんと造られてるか不安……」
このあたり、施主さんから本当によく聞かれます。
ハッキリ書きます。手を抜こうと思えば抜ける工程は、確かにあります。
ただ「手抜き」と言っても、悪意でやってる業者だけじゃないんです。雨でやむを得ない場面も、ハウスメーカーの工期都合で職人が追い込まれる場面も、現場では普通にあります。
このページでは、現役の基礎屋として、
- 実際に現場で起きやすい「手を抜きやすい工程」を5つ+番外編1つ
- 各工程で「サボったらどうなるか」「施主が見抜く方法」
- そして「現場の事情も含めた、なぜそうなるか」
を、できる限り正直に書きました。
業者批判のための記事ではありません。
「施主が知っておくと、業者選びと現場対応で困らない」ことだけを、現場の言葉で書きます。
まず大事な前提|「手抜き」と「現場の事情」は別物
5つを紹介する前に、これだけは伝えさせてください。
現場には「やむを得ずできなかった」と「楽するためにやらなかった」が混在しています。
たとえば後で出てくる「雨の日の打設」。
これ、ネットでは「絶対NG」って書かれることが多いです。でも実際は水の中でも生コンは固まるので、業界的にはグレー判断。少しの雨なら問題ない、結構な雨予報なら避ける、というのが現場の常識です。
だから施主さんに知ってほしいのは、
「業者を悪者にすること」より、
「事情も含めて聞ける関係を、最初に作っておくこと」
そのために、信頼できる業者を最初に選ぶのが何より大事。
これがこの記事の結論です。先に書いておきます。
① かぶり厚不足|「内枠組み時」が要注意
どう手を抜かれるか
「かぶり厚」というのは、コンクリートの表面から鉄筋までの距離のこと。
ここが薄いと、鉄筋が腐食しやすくなります(詳しくは配筋検査の記事で書きました)。
4記事目では「配筋検査の時のかぶり厚」を書きましたが、もう一つチェックすべきタイミングがあります。
それが内枠を組むときです。
基礎工事は、
- 鉄筋を組む
- 配筋検査
- 土間コンクリートを打つ
- その後、内枠を組む ←ここ
という順番で進みます。
土間コンクリートを打ってから内枠を組むので、鉄筋はもう動かない状態。
ここで内枠が鉄筋に近すぎると、本来は鉄筋を曲げて距離を確保する必要があります。
ところが、この「鉄筋を曲げて調整する」手間を省く業者がいます。
そうすると当然、コンクリートのかぶり厚が足りなくなる。
サボったらどうなるか
かぶり厚が足りないと、鉄筋が腐食しやすくなる。
腐食した鉄筋は膨張して、内側からコンクリートを破壊します。
家の寿命に直結する問題です。
施主が見抜く方法
これがポイントなんですが、
型枠検査の時に見える。生コンを打ってもたら見えない。
つまり、「型枠検査」というタイミングがあることを覚えておいてください。
配筋検査とは別の検査で、内枠を組んだ後、立ち上がりコンクリートを打つ前に、第三者機関の検査員が型枠とアンカー位置をチェックします。
このタイミングで、鉄筋と型枠の距離(=かぶり厚)を見ることができます。
施主さんも、「型枠検査の日も見学していいですか?」と監督に伝えておけば、見学できる現場が多いです。
「配筋検査だけ見て安心」ではなく、型枠検査も見るチャンスがある。
これを知ってるだけで、業者へのプレッシャーが変わります。
② 金物(アンカー・ホールダウン)の位置ズレ|「限度超え」がある
基礎の上には、家の柱を固定するための金物が立ちます。
代表的なのがアンカーボルトとホールダウン金物。
アンカーボルトの場合
アンカーボルトは、土台と基礎をガッチリ固定するための金物です。
どう手を抜かれるか
「図面の位置からズレてるけど、まあええか」と直さない、という手抜きパターン。
実際のところ
正直に書きます。
アンカーは多少ズレてても、品質には大きな問題は出ません。
理由は、位置を確認した上で大工さんが土台に穴を開けるから、真ん中じゃなくても合わせられるんです。
ただし限度を超えると話が変わる。
芯にあるべきアンカーが土台の端に寄りすぎると、土台と基礎をしっかり緊結(きんけつ)できない。
つまり土台と基礎をガッチリ固定できなくなる。これは地震時にかなり困ります。
見抜き方
これも型枠検査の時にわかる。脱枠後でも見た目で判断できます。
明らかに端に寄ってるアンカーがあれば、監督に確認しましょう。
ホールダウン金物の場合
ホールダウンは、柱と基礎を直接つなぐ金物。アンカーボルトが「土台と基礎」をつなぐのに対して、ホールダウンは「柱と基礎」をつなぎます。地震や台風で柱が浮き上がるのを抑え込む役目です。
ここは正直に書きます。
素人には見抜けません。図面がないと判断できない領域です。
ホールダウンは「ここに何mm」という設計図に基づいて配置されます。
施主さんが「正しい位置か」を判断するのは、現実的に無理。
だからこそ、第三者機関の検査員に任せる領域として割り切るのが正解です。
4記事目で書いた「気にしすぎないこと」と同じ思想で、プロの検査に任せるで十分です。
③ 土間コンクリート厚みのケチり|「150mm→140mm」問題
どう手を抜かれるか
設計上は150mmで打つことになっているのに、実際は140mm程度で打って生コンを節約する、というパターン。
実際のところ
10mm程度なら、強度的にはほぼ実害はありません。
というか、地盤の砕石下地はもともと多少のバラつきが出るものなので、誤差レベル。
ただし問題は「10mmをケチると、部分的に130mmになる箇所が出てくること」。
これが起きると、局所的に強度ムラが生まれます。
だから現場では、下地の砕石を均す(ならす)作業がめちゃくちゃ大事。
ここを丁寧にやってる業者は、土間厚みも安定します。
施主が見抜く方法
正直、これは完全には見抜けません。
打設しながら厚みを調整できる工程なので、外から見て判断できないんです。
結論:信頼できる業者を最初に選ぶことが対抗策。
砕石下地をどれだけ丁寧にやってるか、現場見学で確認するのが現実的なチェック方法です。
④ 想定より早く脱枠する|「生コンは初期が大事」
どう手を抜かれるか
規定の養生期間を待たずに、1〜2日早く型枠を外す業者がいます。
実際、2日早くバラす業者を見たこともあります。
サボったらどうなるか
適切な強度が出ない可能性があります。
生コンは初期がいちばん大事。最初の数日で、コンクリートの将来の強度がほぼ決まります。
ここで養生期間を削ると、設計強度に届かないリスクがある。
正規の対応としては、早くバラす場合は破壊試験で強度確認するのが本来。
それをしないで「経験で大丈夫」と外すのは、本当はNGです。
なぜ早く外すのか|現場の事情
ここも誠実に書きます。
実はハウスメーカーの工期プレッシャーが原因のことが多いんです。
建て方(柱を建てる工程)の日が決まっている → ハウスメーカーが養生期間を気にしないと「早くバラして」と現場に言ってくる。
職人が手を抜きたくて外してるんじゃなく、HMの段取り都合で外させられてるケースが普通にあります。
施主が見抜く方法
監督に「打設日」と「脱枠予定日」を確認しておきましょう。
そして、今の時期の養生期間が何日必要かも合わせて聞くといいです。
夏場なら3日、冬場なら5日が目安。これより極端に短いと黄色信号です。
「脱枠の前に、ちょっとだけ見に行ってもいいですか?」
これを最初に伝えておくと、現場側も意識してくれます。
⑤ 雨の日の打設&金鏝(かなごて)押さえ手抜き
どう手を抜かれるか
- 結構な雨予報の日に、強行して打設する
- 仕上げの金鏝押さえをサボる
実際のところ|「絶対NG」ではない
ネットでは「雨の日打設は絶対NG」と書かれがちですが、現場感覚は少し違います。
業界的にはグレー。水の中でも生コンは固まる。
大事なのは「降った量」より「降ったタイミング」。同じ雨でも、いつ降るかで意味が全然違います。
| タイミング | 判断 |
|---|---|
| 打設中(生コンを流してる最中) | アウト。水分量が狂って強度に影響 |
| 打設直後(表面がまだ柔らかい) | 降水量による。土砂降りなら表面が荒れる |
| 金鏝押さえ後(表面が固まってから) | むしろ歓迎。夏場は恵みの雨 |
一番アウトなのは打設中。生コンに余計な水が混ざって、設計通りの強度が出なくなります。
逆に、金鏝押さえが終わって表面が固まった後の雨は、むしろ味方になります。コンクリートは乾燥で縮んで割れるので、適度な湿気は水中養生のような効果。夏場の打設後にパラッと降ってくれると、職人としては「恵みの雨やな」と思うくらいです。
怖いのは、打設直後、表面がまだ柔らかいときの土砂降り。表面の生コンが流されて、表面強度がガクッと落ちます。土間コンクリートの上には鋼製束(こうせいづか)という金物が乗るので、表面強度は重要。ここがやられると影響が出ます。
ただ、強い雨予報の中で打設を強行するのは、やはり信頼できなくなるのも事実。雨のタイミングを見て「行けるか・行けないか」判断するのは、経験で決めてる部分が大きいです。
施主が見抜く方法
打設日の天気予報を見ておきましょう。
当日が強い雨予報なのに強行する場合は、監督に「延期は検討されましたか?」と聞いてみてOK。
ただ、小雨程度ならそこまで気にしなくていいのも事実です。
過度に騒ぐと現場との関係が悪くなるので、バランスが大事。
番外編|クラック(ひび割れ)は気にしすぎ案件
最後に、「気にしなくていいこと」を1つ書いておきます。
施主さんが基礎を見て一番不安になるのが、ひび割れ(クラック)。
でもこれ、結論から言うと、
コンクリートは割れるもの。
これは現場の常識です。
コンクリートは乾燥や温度変化で必ず縮みます。だから多少のひび割れは避けられないんです。
0.3mmが境目
業界基準は明確です。
| クラック幅 | 判断 |
|---|---|
| 0.3mm以上 | 瑕疵(かし)保険対応の対象。補修必要 |
| 0.3mm以下 | いわゆる「ヘアークラック」。許容範囲 |
0.3mmって、髪の毛1本分くらいの幅です。
それ以下のひび割れを見つけて「うちの基礎、もうダメや…」と落ち込む必要はありません。
0.3mm以上のクラックを見つけたら、業者と瑕疵保険会社に相談。
それ以下なら、コンクリートの自然な性質として受け止めて大丈夫です。
まとめ|信頼できる業者を選ぶことが、最大の対抗策
ここまで5つ+番外編を見てきましたが、結局のところ、
全部を施主が見抜くのは無理
です。土間厚みみたいに「打設しながら調整できる」ものは、現実的にチェック不可能。
じゃあどうするか。
- 最初の業者選びに時間をかける
- 配筋検査・型枠検査の日を必ず聞いておく(見学希望を伝える)
- 打設日と脱枠予定日を把握しておく
- 小さなクラックには動じない(0.3mm基準で判断)
📸 業者選びの後、現場をどう楽しむかについては別記事で書きました。基礎の素の姿が見られるのは、たった1時間という現場のリアルも併せてどうぞ。
→ 基礎工事の工程ごとに、写真を残そう|現役職人が教える”我が家の基礎”が見られるたった1時間
この4つを意識するだけで、施主としてできることはほぼ全部やれてます。
そして、現場の人間と信頼関係を作っておく。
雨の日の判断にせよ、養生期間にせよ、職人は職人なりに考えて動いています。
頭ごなしに疑うより、「現場の事情も聞かせてください」と話せる関係のほうが、結果的に良い基礎ができます。
業者選びの記事はこちら:
→「どこで建てるか」より「誰と建てるか」HM選び方配筋検査の見学について:
→配筋検査で施主がチェックすべき4点
不安を煽って終わる記事には、絶対にしたくありませんでした。
現場の事情も含めて、できる限り正直に書いたつもりです。
この記事が、家づくりを進めている方の判断材料になれば嬉しいです。
家づくりの最初の一歩|無料の相談窓口
「自分の家づくり、ちゃんと現場見せてくれる業者さんに頼めるかな…」と不安になった方へ。
業者選びの段階で「現場を見せてくれる会社か」「職人と話させてくれるか」を確認しておくのが、後悔しない家づくりの近道です。
気軽に使える無料の相談窓口を2つ紹介しておきます。煽るつもりはなくて、「迷ってるなら、第三者に相談してから決める」のが安全というだけの話です。
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現場の基礎屋・塩津

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