こんにちは、現場の基礎屋・塩津です。
新築の引き渡しを受けて、ふと基礎を見たら細いひび割れ。
「これ、自分で直したほうがええんかな?」
「ホームセンターに補修キット売ってたし…」
そんな相談、実際にもらったことがあります。
「5mm以下やから自分で直せるかな?って質問されたことあるねん。
補修はホームセンターに打っとるような補修キットで。
それで直るんやったら、苦労せんよね。」
気持ちはめっちゃ分かるんです。
小さいひびに業者呼ぶんも気がひけるし、簡単に直せそうに見える。
でもこの記事は、自分で直す前に、ちょっとだけ話を聞いてほしいって内容です。
この記事は不安にさせるためのもんちゃう。
「ひびを見つけても、慌てんで大丈夫」って安心してもらうために書きます。
読み終わるころには、
- ひび割れを見つけたときに慌てんで済む判断基準
- 0.3mmという数字がなぜ重要なのか
- DIY補修キットがなぜオススメできんのか
- 施工会社に「相談」する正しいやり方
このへんが分かるはずです。
ほな、いきましょか。
そもそもコンクリートは割れるもん
まず大前提から。
コンクリートは、必ず割れます。
これは欠陥工事とかじゃなくて、コンクリートそのものの性質なんです。
材料として、そういう運命を背負ってる。
なんで割れるか
理由はざっくり3つ。
- 乾燥収縮:コンクリートの中の水分が抜けていく過程で縮む
- 温度差:夏冬の温度変化で伸び縮みする
- 経年劣化:時間とともに少しずつ変化していく
新築の家でも、引き渡しから1〜2年で細いひびが入ることはざらにあります。
うちが施工した基礎でも、養生明けに「ヘアクラック」って呼ばれる髪の毛みたいな細い線が見えることはあるんです。
これは止めようがない。コンクリートを使う限り、ゼロにはできません。
だから「ひびを見つけた=慌てる」じゃない
正直、ひびを見つけて慌てて電話くれる施主さんも結構いてます。
気持ちは分かる。家を建てたばっかりやと、ちょっとした変化でも不安になりますよね。
でも、ひびを見つけたこと自体は、別に普通のことなんです。
大事なのは「そのひびがどんなひびか」を見極めること。
ここから先は、その見極め方の話をしていきます。
分かれ目は「0.3mm」
ひび割れを見つけたとき、最初に意識してほしい数字があります。
0.3mm
これが、心配せんでええひびと、ちゃんと診てもらった方がええひびの境界線です。
0.3mm未満:ヘアクラック
0.3mm未満のひびは「ヘアクラック」って呼ばれます。
名前の通り、髪の毛くらいの細さ。
このレベルのひびは、
- 乾燥収縮で自然に発生するもんがほとんど
- 構造的にすぐ問題になることはまずない
- 補修もせず、様子見でOK
ってのが、業界一般の見方です。
0.3mm以上:瑕疵保険の対象になる可能性
0.3mm以上になってくると、話が変わってきます。
実は、0.3mm以上のひびは「住宅瑕疵担保責任保険(瑕疵保険)」の対象になる可能性があるんです。
引き渡しから10年以内なら、施工会社に補修を依頼できるラインがここ。
言い換えると、業界として「ここから先は無視できない」ってラインが0.3mmってこと。
「0.3mm以上は瑕疵保険対象になる。
それだけクラックには気をつけた方がええってこと。」
これ、現場で日々ひびと向き合ってる職人としても、ほんまその通りやと思います。
じゃあどうやって測るか
「で、どうやって0.3mmを判断するんですか?」
って聞かれるんですけど、これはクラックスケールっていう専用の道具を使います。
100円ショップでも売ってる、透明の小さい定規みたいなやつ。
そこに 0.1mm、0.2mm、0.3mm…って色んな幅の線が引いてあって、ひびに当てて比較するんです。
スマホで写真撮るときに、これを当てて一緒に写しとくと記録として残せます。
ここまで読むと、
「ほな、自分でクラックスケール買って測れば、自分で判断できるやん」
って思うかもしれません。
でも、ここからが本題です。
でも本当に怖いのは「中で起きてること」
ここが、今日いちばん伝えたい話です。
ひび割れの本当の怖さは、表面の幅やない。中で何が起きてるかなんです。
なんでひびがアカンのか
「クラックが何で問題になるかってことなんやけど、
鉄筋に水分が触れる事によって錆びてコンクリートの中から膨張してまうからやねん。
中から破壊してまう。」
これ、塩津的にめちゃくちゃ大事な話なんで、もう一回書きますね。
ひびが入る → 雨水や空気中の湿気が入る → 中の鉄筋が錆びる → 錆びた鉄筋が膨張する → コンクリートを内側から押し広げて壊す
つまり、ひびが怖いのは「ひびそのもの」じゃなくて、ひびをきっかけに中の鉄筋が錆びていくことなんです。
そして鉄筋が錆びて膨張すると、コンクリートを中から破壊していく。
これがいちばん怖い。
家そのものを支えてる基礎が、中から壊されてしまうわけですから。
雨が当たらん場所でも油断したらアカン
ちなみに、
「ウチの基礎は屋根の下やし、雨が直接当たらへんから大丈夫やろ」
って思う人もいてるんですけど、これは要注意。
鉄筋は、雨水だけやなくて空気中の湿気でも錆びます。
濡れへんから安心、ではないんです。
特に気をつけてほしいのは、
- 床下で風通しが悪い場所
- 日陰でジメッとしてる場所
- 北側で日が当たらん場所
- お風呂や洗面所の周りの基礎
このへんは湿気がこもりやすいので、ひびが入ったときに錆びが進みやすい環境やと思ってください。
「雨水だけが敵やない、湿気も敵」って頭に入れとくと、点検のときに見落としが減ります。
表面だけのひびか、中までいってるか
ここで問題になるのが、
そのひびが表面だけのもんなのか、中の鉄筋まで届いてるのか
これが、見ただけでは分からんってこと。
「表面だけなのか?中までいってるか?
いってて瑕疵保険対象の場合はどこまで対象に乗るのか?は専門じゃないとわからへんとこ。」
クラックスケールで幅は測れます。0.3mm未満かどうかも判断できる。
でも「そのひびの深さ」は、見えへんのです。
レントゲンみたいに中を覗くわけにいかんから、外から見える幅とか方向、周辺の状態を総合的に診て、経験で判断するしかない。
ここが、施主さんと職人の決定的な違いやと思います。
犬走りと基礎本体は別物
もうひとつ、誤解されやすいポイントがあります。
それは、「ひびが入った場所」によって意味が全然違うってこと。
犬走り:建物を支える構造体やない
犬走り(いぬばしり)って言葉、聞いたことありますか?
これは、建物の外周にぐるっと打ってあるコンクリートの平らな部分のこと。
雨で家の周りの土がぬかるまんように敷いてあるやつです。
犬走りは、家を支える構造体じゃありません。
言うたら、地面の上に乗せてるだけのコンクリート板みたいなもん。
なので、犬走りにひびが入っても、家そのものに影響することはほとんどないんです。
冒頭で出てきた相談、
「5mm以下やから自分で直せるかな?って質問されたことある。
それは犬走りやったから構造的に問題ないけど、やっぱりオススメせんなぁ。」
これは犬走りやったから「構造的には問題ない」と判断できたんです。
でも基礎本体に入った5mmやったら、話は全然違います。
基礎本体:家を支える構造体
一方の基礎本体。
これは家そのものを支えてる構造体です。
鉄筋とコンクリートで作られていて、その中の鉄筋が錆びたら家全体に影響する。
つまり、同じ「5mmのひび」でも、
- 犬走り → そんなに慌てんでええ
- 基礎本体(立ち上がり・スラブ) → ちゃんと相談したほうがええ
くらい、意味が違うんです。
でも素人目には区別つきにくい
ここがやっかいなとこで、
「自分が今見てるひびが、犬走りなのか基礎本体なのか」
って、初めての施主さんやと判断しにくいことが多いです。
家の外周をぐるっと見回って、白っぽいコンクリートが地面より一段下がっとったらそれは犬走り。
家の壁から下に立ち上がっとる、地面より高いコンクリートが基礎本体(立ち上がり部分)。
…って文章で書いても伝わりにくいかもしれません。
だからこそ、写真を撮って相談するのがいちばん早いです。
施工中だけやなくて、引き渡し後の点検でも写真は強い武器になります。
DIY補修キットで直るんやったら苦労せん
ここまで読んで、
「いや、でもひびを放っとくのも怖いし、とりあえず補修キットで塞いどこか…」
って思った人もいてるかもしれません。
正直に書きます。
「補修はホームセンターに打っとるような補修キットで。
それで直るんやったら、苦労せんよね。」
これがプロとしての本音です。
補修キット自体は悪いもんやない
念のため言うとくと、ホームセンターで売ってる補修キットそのものは、別に粗悪品ちゃいます。
表面のひびを埋める材料としては、ちゃんと役割を果たすもんです。
ただ、基礎のひび補修には用途が違うってこと。
何がアカンのか
理由は3つあります。
1. 表面を塞ぐと、中の状態が見えなくなる
ひびを塞いだら、見た目はキレイになります。
でも、これが落とし穴。
ひびを塞いだ後で中の鉄筋が錆び続けてたとしても、外から進行状況が見えへんんです。
気付いたときには手遅れ、ってパターンもあり得ます。
職人がひびを見るとき、「このひびはこの先どう動くか」を経過観察したいわけです。
塞いでしまうと、それができなくなる。
2. 原因が分からんままやと、また割れる
ひびって、必ず原因があって入ります。
- 乾燥収縮
- 不同沈下(地盤の不均一な沈み込み)
- 鉄筋の錆びによる膨張
- 凍結融解(寒冷地)
など。
「なんで割れたか」が分からんまま表面だけ塞いでも、根本原因はそのまま残ってます。
だから、ちょっとしたらまた別のひびが入ったり、塞いだ場所が再度割れたりする。
「そーやねん、なんで割れたか?どこまで割れとるか?が重要やねん。」
これ、職人として何回も経験してます。
ほんまに大事なのは「埋めること」やなくて「原因を見つけること」。
3. 鉄筋まで届く補修にはならん
DIY補修キットは、基本的にコンクリートの表面の処置しかできません。
中の鉄筋まで届く補修は、もっと専門的な工法(樹脂注入とか、断面修復とか)が必要です。
中の鉄筋がすでに錆び始めとったら、表面を塞いだだけでは根本解決にならんのです。
じゃあ何のためのキットか
DIY補修キットは、
- 建物の構造体やない部分(犬走り・土間・カーポートのコンクリートとか)
- 構造に影響しない、見た目を整えるための補修
このへんには十分役立ちます。
でも、家の基礎本体のひびを「補修キットで直して終わり」にするのは、用途が違うんです。
そこだけは、頭に置いといてもらえると助かります。
ほな施主はどうしたらええ?
ここまで読んで、
「分かった、自分で直すんはやめる。じゃあ何したらええの?」
って思ってもらえたら、この記事の8割は成功です。
施主さんがやることは、シンプルに3ステップ。
ステップ1:写真を撮る
ひびを見つけたら、まず写真。
- ひびの全体(どこに入ってるか分かる引きの写真)
- ひびのアップ(できればクラックスケールを当てて)
- 周辺の状況(地面の様子、近くに何があるか)
スマホで十分です。
クラックスケールは100均でも売ってるし、最悪なくても、1円玉とかを横に置いて撮れば大きさの目安になります。
引き渡し後に何かあったときに、過去の施工写真があると話が早いです。
こういう写真は、家を建てたあとも長く役に立つんで、撮れるなら撮っといてください。
ステップ2:見つけた日付をメモ
写真と一緒に、
- いつ見つけたか
- そのとき何mmだったか
- どこにあるか(場所のメモ)
を書いとくとベスト。
なんでかっていうと、ひびって進行するかどうかが大事なんです。
「3ヶ月前は0.2mmやったのに、今は0.4mmに広がってる」
ってのが分かれば、これは進行性のひびって判断できる。
逆に、
「半年前から見てるけど、ずっと同じ幅で動いてない」
ってのが分かれば、安定してるって判断できる。
時系列の記録があると、診断の精度がぐっと上がります。
ステップ3:施工会社に「相談」する
そして、施工会社に連絡。
このとき大事なのが、「相談」っていうスタンスで連絡すること。
「まずは施工会社に相談してみてもらうのが先決!
あくまでも相談やで!!」
クレームじゃない、責任追及でもない、ただの相談。
「先日こういうひびを見つけたんですけど、これって大丈夫なやつですか?」
くらいのテンションで全然OK。
ちゃんとした会社なら、
- 写真を見て初期判断
- 必要に応じて現場確認
- 保証の対象かどうかの判断
- 補修の必要性の判断
ここまでやってくれます。
これが、施工会社が引き渡し後にも果たすべき仕事のひとつなんで。
引き渡しから10年以内なら瑕疵保険対象の可能性
しつこいようやけど、もう一回。
0.3mm以上のひびで、引き渡しから10年以内なら、瑕疵担保責任保険の対象になる可能性があります。
これは制度として、施主さんを守る仕組みです。
活用できるなら活用したほうがええ。
でも、自分で勝手にDIY補修してしまうと、
「あれ、補修済みやから保険対象かどうか判断つかんわ…」
ってなるリスクもあります。
だからこそ、自分で直す前にまず相談やねん。
0.3mm以下なら心配せんでええ
ここまで色々書いてきましたけど、もう一回安心させてください。
0.3mm以下のひびは、基本的に心配いりません。
「0.3mmいってなかったら何の問題もないから心配しなくても大丈夫🙆♂️」
これは、ほんまにそう。
ヘアクラックレベルのひびは、コンクリートの宿命みたいなもんやから、見つけても
- まず深呼吸
- 写真と日付だけメモっとく
- そのうち動きがありそうなら相談
くらいの感覚でええです。
全部のひびが大事件ちゃう。
でも「メモと写真」だけはやっといて
ひとつだけお願い。
0.3mm未満で「これは大丈夫やな」と思ったひびでも、写真と日付だけはメモっといてください。
なんでかって言うと、後から「あれ、このひび広がってる?」って気付いたときに、過去の記録があると比較できるから。
スマホのアルバムに「家の点検」みたいなフォルダ作って、
- 引き渡し直後
- 1年点検のタイミング
- 何か気になったとき
このタイミングで基礎の写真を撮っとくと、長い目で見て家を守ることにつながります。
引き渡し前の段階から、こういう「記録を残す感覚」を持っとくと、引き渡し後の暮らしの安心感が全然違ってきます。
まとめ:ひびは怖がるもんじゃなく、向き合うもん
長くなりましたが、ポイントをぎゅっとまとめます。
- コンクリートは必ず割れる。ひびを見つけても慌てんでええ
- 0.3mmが分かれ目。それ未満なら様子見、それ以上は相談
- 怖いのは表面の幅やなくて、中で鉄筋が錆びて起こる「中から破壊」
- 犬走りと基礎本体は別物。同じ5mmでも意味が違う
- DIY補修キットはオススメせん。中の状態が見えなくなる・原因が分からんままになる
- やることは3ステップ:写真撮る → 日付メモる → 施工会社に「相談」する
- 引き渡しから10年以内なら瑕疵保険対象の可能性
これから建てる人へ
引き渡しは終わりじゃなくて、家との付き合いのスタートです。
基礎にひびが入ること自体は普通のこと。
それを「ちゃんと相談できる施工会社」を選んどくことが、何より大事。
「ひびが入ったとき、ちゃんと診てくれそうか」って視点でも、施工会社を見てみてください。
ちなみに、これから家を建てる人で「どこに相談しに行こう?」って迷ったら、無料の家づくり相談を使うのも手です。話を聞くだけでも、自分の頭の整理になりますよ。
もう引渡し後で不安な人へ
ひびを見つけて、ここまで読みに来てくれた人。
まずは深呼吸してください。
ひとつだけ言わせてください。
自分で塞ぐ前に、ひと声、施工会社に連絡してみてほしい。
写真撮って、日付メモって、「これって大丈夫ですか?」って聞くだけ。
それで何か診断してもらえたら、それだけで気持ちが軽くなると思います。
ぼくみたいな基礎屋は、そういう相談に答えるのも仕事のうちやと思ってます。
構えんと、ふつうに聞いてもらえたら、ふつうに答えます。
家は長く付き合うもんです。
ひびと上手に付き合えるようになると、家とも上手に付き合えるようになるんちゃうかなと、現場でいつも思ってます。
ほな、また次の現場で。
こんなときに気軽に話を聞いてくれる場所として、家づくりの専門家への無料相談窓口もあります。「ちょっと不安なんですけど」っていうふんわりした相談でも対応してくれるので、ひとりで抱え込まんと使ってみてください。
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